古典から考える心理学6~『風姿花伝』と教育心理学、発達心理学(その5)

更新日:11月22日

お気楽サラリーマン認定心理士まさだです。


古典の中には心理学で知った事を彷彿させてくれる作品があります。

今回は、前回のブログ「古典から考える心理学5~『風姿花伝』と教育心理学、発達心理学(その4)」に続き、『風姿花伝』を取り上げます。



■『風姿花伝』に関する過去のブログ

「古典から考える心理学2~『風姿花伝』と教育心理学、発達心理学(その1)」・・・7歳

「古典から考える心理学3~『風姿花伝』と教育心理学、発達心理学(その2)」・・・12~13歳

「古典から考える心理学4~『風姿花伝』と教育心理学、発達心理学(その3)」・・・17~18歳

「古典から考える心理学5~『風姿花伝』と教育心理学、発達心理学(その4)」・・・24~25歳




今回は「34~35歳」です。



この頃の能、盛りの極めなり。
ここにて、この条々を窮(きわ)め悟りて、堪能になれば、定めて天下に許され、名望を得つべし。
もしこの時分に、天下の許されも不足に、名望を思ふ程になくは、いかなる上手なりとも、いまだまことの花を窮めぬ為手(して)と知るべし。
もし窮めずは、四十より能は下がるべし。
それ、後の証拠なるべし。
さるほどに、上がるは三十四・五までの頃、下がるは四十以来なり。
返すがへす、この頃天下の許されを得ずば、能を窮めたりととは思ふべからず。
ここにてなほ、慎むべし。この頃は、過ぎし方をも覚え、また、行く先の手立(てだて)をも覚る時分なり。この頃極めずば、こののち天下の許されを得ん事、返すがへすかたかるべし。
(『風姿花伝』第一 年来稽古条々 三十四五より)


エリクソンの「ライフサイクル論」での8つの発達段階

1.乳児期(生後):0~17ヶ月

2.幼児初期:18ヶ月~3歳

3.遊戯期:3~5歳

4.学齢期:5~13歳

5.青年期:13~20歳

6.若い成人期:20~40歳

7.成人期:40~65歳

8:老年期:65歳~

でいうところの「6.若い成人期」における真ん中の年齢ですね。


34~35歳。

「この頃の能、盛りの極めなり。」

この頃を芸の全盛期としています。


もちろん、ただ年を取るだけではダメで「ここにて、この条々を窮(きわ)め悟りて」と、この『風姿花伝』の教えに従って精進していることを条件に付けくわえています。


更には、この頃に一定の名声をえられない様ならダメだと言っています。


最後を締めくくるメッセージは「この頃極めずば、こののち天下の許されを得ん事、返すがへすかたかるべし。」。


現代風に言えば、「重ねて言っておくが、この時分に華やいでいない様なら、この先どんなに頑張ってムダだ」といったところでしょうか。


なかなか、中高年には手厳しい『風姿花伝』。


では、34~35歳の次は?

それは次回のブログで。



引用・参考文献


世阿弥、小西甚一(編訳)(2012).風姿花伝・花鏡 タチバナ教養文庫

向田久美子(2018). 発達心理学概論(第2刷) 放送大学教育振興会

田中統治、向田久美子、佐藤仁美(2018). 心理と教育へのいざない(第1刷) 放送大学教育振興会

萩野美佐子(2021). 発達心理学特論(第1刷) 放送大学教育振興会

三宅芳雄、白石始(2018). 教育心理学特論(第1刷) 放送大学教育振興会

星薫(2017).成人発達心理学(第1刷) 放送大学教育振興会





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