今ここを基本に、人間関係に寄り添う、ブリーフセラピーの技法を解き明かす。

更新日:4月26日

PUFイベント#2レポート




第3回パワーアップファクトリー アカデミー
2022年2月4日(木) | オンラインミーティング

「臨床心理士から学ぶブリーフセラピー入門」

第3回パワーアップファクトリーアカデミー開催。


本年最初のPUFセミナー、

満席御礼にて開催終了!

2月4日(木)、本年最初のオンラインセミナー、第3回パワーアップファクトリーアカデミーを開催しました。テーマはブリーフセラピー。


ブリーフセラピーとは、アメリカの精神科医ミルトン・H・エリクソン(1901〜1980)の治療技法や考え方から発展した心理療法です。「ブリーフ」の訳語は「短期の」「簡潔な」ですが、ブリーフセラピーは、時間を合理的に用いて、効率的・効果的な援助方法を探求するという、従来の技法に一石を投じているカウンセリング手法です。


今回は、臨床心理士、ブリーフセラピストにして認定心理士、日本ブリーフセラピー協会で講師もされている成海講師が、はじめてふれる方でもわかる入門篇として「ブリーフセラピー」を紹介。簡単なワークを通じてブリーフセラピーはどういったものなのかを、参加者17名の方々に体験していただきました。



Profile:成海 由布子

資格:臨床心理士、産業カウンセラー、ブリーフセラピスト・ベーシック、
   ブリーフコーチエキスパート、認定心理士
経歴:企業の人事部でメンタルヘルス担当
   県立職業訓練校のスクールカウンセラー、
   フリーランスEAPカウンセラー、川越少年刑務所処遇カウンセラー

大学(法学部)卒業後、広告代理店で広告制作に携わる。思うところあり30歳を過ぎて臨床心理学科に編入し、卒業。認定心理士を取得。社会人大学院修了後、メンタルヘルス担当者として生命保険会社人事部に入社、産業保健心理士と人事部会社員の二足のわらじで勤務。7年半で退職後、リワーク相談員、県立職業訓練校SCを経て、現在はフリーのEAPカウンセラー、東京都教職員総合健康センター相談員、川越少年刑務所処遇カウンセラーとして働きつつ、ブリーフセラピーに関する研修を実施。日本ブリーフセラピー協会「短期療法を学ぶ会 埼玉支部」副支部長。

※成海由布子先生のカウンセリング.コーチングのお申込みはこちら
https://coubic.com/brieftherapy-yuko (ただいま準備中)


認定心理士PUFワークショップ

ブリーフセラピー(短期療法)入門。

短い時間なので、今回はブリーフセラピーが実際にどういうことをしているものなのか、どう役立っているのかを皆さんが感覚的になるほどと思えるようにお伝えしました。教育現場や企業のマネージャークラスの人、キャリアコンサルティングに、ブリーフセラピーがとても役立つ「こんな面白い技術」ということで「学ぶ」というよりは、「楽しんで」もらいたいという内容となりました。


「今ここで、何が起きているのか」に注目する、

それがブリーフセラピー(Brief Therapy)の大前提。

ブリーフセラピーは、問題の原因を個人病理に求めるのではなく、コミュニケーション(相互作用)の変化を促して問題を解決・解消していこうとする心理療法です。問題の原因が何かではなく、「今ここで何が起きているのか」という相互作用を重視します。この人とこの人がこじれているとしたら、誰が悪いのか、何が原因でこじれているのかではなくて、今起きているこじれはどのようなものか、どういうことでこじれてしまっているのか、ということに注目して、こじれないことを考えるというものです。


1950年代のアメリカを中心に発展した家族療法がその起源。治療というより問題解決の技術の体系で、個人・家族から学校、会社組織まで、またコーチングやコンサルティングの分野で活用されています。悪者を作らない、優しくユーモラスな介入が特徴です。



ブリーフセラピーは、家庭や学校、職場等、

あらゆるところで大活躍。

個人面接だけでなくて、家族面接、訪問援助、家庭とか学校に訪問して援助するような、集団精神療法(心理教育)、コンサルテーションなど広い範囲の様々な援助方法に適用されていて、精神医療、保健福祉、学校教育、ビジネス、組織マネジメントなど幅広い領域・分野で用いられて、関係性の改善に効果をあげています。
(ブリーフセラピー協会 学術団体のホームページより)


ブリーフセラピーの基本は3つ。

例外を探す、違うことをする、例外を続ける。

1. 問題が起きた時に、その原因を探すのではなく、うまくいっていることはないかという、現在の問題の中ですでに解決している“例外”を探す(SFA)

2. 1のような例外がなければ、現状とは何か違う事をする(Do Something Different)

3.1で見つけたうまくいっていること=“例外”を続ける(Do More)

※1のSFA(ソリューション・フォーカスト・アプローチ)とは「良循環を拡張する」アプローチ。対極には「悪循環を切る」というMRIという重要なアプローチがあります。


ワークショップでは2つのお題。

こんな時、あなたならどうする?

友人や会社の同僚から、こんな悩みを相談されたとします。ブリーフセラピーではどのように対処するのでしょう。


事例1


こんな相談、あなたならどう答えますか?短いワークショップで参加者から出されたのは、いずれもいい回答。ですが、実はこれが正しいという正解はありません。正解があるとすれば、その人にとってうまくいくことです。その人にとってハッピーな状態、今よりも良くなればいいとするのが、これまでの心理療法と違うところです。

この事例での模範回答とは…セミナー参加者だけの特典としておきましょうwww。



さて2つ目のお題は、ある少年とセラピストのお話。


事例2


こちらでは、このセラピストの対応をお伝えしています。あなたはどう思いますか?

ワークショップでは、参加者のみなさんのさまざまなご意見が交わされました。いずれも的を射た感想やご意見で、勉強になりました。ここで交わされたご意見も、参加者だけで共有しておきますが、ひとつとても大切なことは「セラピストとクライアントの関係性の中で援助していくこと」であるということを、講師の言葉から拾っておきます。


ブリーフセラピーと伝統的なセラピーの違いは、

クライアント・ファーストの援助技術。

伝統的なセラピーは、個人の精神病理や心を扱いますが、ブリーフセラピーでは、関係性に起こる問題を扱います。また、伝統的なセラピーは、過去や生育歴等を扱いますが、ブリーフセラピーでは「今ここ」の関係性にある相互作用を扱います。

「クライアント・ファースト」とは、セラピストの目線ではなく、「クライアントが何を問題だと思っているか」がすべてだということなのです。


この後、さらにブリーフセラピーの基本技法まで掘り下げたお話が続きました。とてもわかりやすく役に立つ、特筆もののノウハウですが、ここでは長くなるので割愛します。


辛い思いや大変な経験にフォーカスしない。

本人の願い通りになることをゴールに設定。

ブリーフセラピーは、やはりこれまでのカウンセリング技法とは異なることを学びました。傾聴はしても、クライアントの苦しい現実にフォーカスしすぎない。なぜならその現実を構成してしまうことにつながって、出口が見えなくなってしまうからです。また、あくまでも本人の立場で問題にアセスメントして、本人の希望に沿う方法で介入する〜これも、実際にお話を聞かないと理解しにくいかもしれませんね。この他にも、夫婦問題で、妻のイライラと夫の行動〜原因と結果が悪循環してしまうお話とその解決方法、なぜ問題が持続してしまうのかなど、興味深いお話が満載でした。


重要な視点は仏教の無常観に通じる。

問題も悩みもやがてすべては流れていく。

最後にとても重要なお話です。ブリーフセラピーは変化を起こす技術と言えます。変化の原理を捉えて、なんとかしたい状況の中から、変化を作るには、問題のメカニズムや変化をするメカニズムを知る必要があります。ですが、もっと大切なことは、世の中の事柄はすべて流転している、どんなことも一瞬たりとも固定せず変化の最中にあると言うことだそうです。子供は成長して離れていく、病気や怪我はいつか治る、そうした変化の中で、問題もまた固定していないということを前提にすることも大切であるというお話で締めくくられました。


ブリーフセラピーについて

もっと知りたいという、みなさんにお知らせです!

オンラインイベントは今後も開催する予定です。サイト会員に登録していただければ、開催のお知らせをいち早く受け取れ、フォーラムに参加できる特典があります。

たとえば今回参加されたけれど、ブリーフ・セラピーについてもっと知りたい!残念ながら参加できなかったので、この記事だけではわからない。そんなみなさまは、この記事へのコメントでもいいですが、サイト会員になってPUFのフォーラムでお話を続けることができますよ!今回の講師を務めてくれた成海先生も、今年からPUFのスタッフの一人として参加していますので、このお話の続きができるかもわかりません。

よろしければ、続きはフォーラムで!よろしくお願いします。


              文責 Psychological Copywriter ことばる